「あんなもん役に立たん。
俺が考えたプランを見れば
すぐ鼻息を荒くするさ」
「そお……かしら」
自信はあった。
顧客も上司も後輩も
抜きにして、
俺は優秀なはずだから。
なのにみんな
わかってくれなくて……。
何もかもむかついてくる。
もう頭がぼんやりして
何も考えたくない。
背中を向けたまま、
棚に並んだ数々の酒に
思い入れが
あるといったように、
マスターは酒瓶を
1つ取ってはクロスで
綺麗に拭きあげていく。
すでに腰下の黒いエプロンも
外していて、
話を聞いているのか
聞いていないか
わからないほどの
距離にいるあたり、
さすが熟達した人だ。
小百合がグラスの氷を
そっと傾けて鳴らした。
「……まあそれくらい
虚勢を張るのも大事なのよ。
時にはね。
あなた昔はいつも
だんまりだったし
人の前に立ちたがらないしで、
私はよくわかんない奴だなって
思ってたもん。
それがいまや課長だもんね」
「やめてくれ。
そんなこと言うの。
最近じゃ会社に
居場所がないんだから」
「……そうやって
気をつかってばかりのところは
変わってないけど」
……悪かったな。
気が小さくて。
「本当の自分なんて
自分にしかわからないものよ。
だからせめて自分だけは
真っ直ぐな気持ちで
自分を見つめるの。
覚えてる?
犬に咬まれた時の話」
俺が考えたプランを見れば
すぐ鼻息を荒くするさ」
「そお……かしら」
自信はあった。
顧客も上司も後輩も
抜きにして、
俺は優秀なはずだから。
なのにみんな
わかってくれなくて……。
何もかもむかついてくる。
もう頭がぼんやりして
何も考えたくない。
背中を向けたまま、
棚に並んだ数々の酒に
思い入れが
あるといったように、
マスターは酒瓶を
1つ取ってはクロスで
綺麗に拭きあげていく。
すでに腰下の黒いエプロンも
外していて、
話を聞いているのか
聞いていないか
わからないほどの
距離にいるあたり、
さすが熟達した人だ。
小百合がグラスの氷を
そっと傾けて鳴らした。
「……まあそれくらい
虚勢を張るのも大事なのよ。
時にはね。
あなた昔はいつも
だんまりだったし
人の前に立ちたがらないしで、
私はよくわかんない奴だなって
思ってたもん。
それがいまや課長だもんね」
「やめてくれ。
そんなこと言うの。
最近じゃ会社に
居場所がないんだから」
「……そうやって
気をつかってばかりのところは
変わってないけど」
……悪かったな。
気が小さくて。
「本当の自分なんて
自分にしかわからないものよ。
だからせめて自分だけは
真っ直ぐな気持ちで
自分を見つめるの。
覚えてる?
犬に咬まれた時の話」

