「きっと自分が悪いことを
認めたくないんですよ。
けっこう自己中な人ですし。
僕としては意地張るより
今こそ胸を張って
謝りに行って
ほしいもんですけどねぇ」
彼らは持ち場にいない時は
よくここに溜まって、
与太話をしている。
くだらないとも思ったが、
2年前まで
よく自分もそこにいたことや、
これからバーで小百合と
少なからず会社の愚痴を
話すだろうことを踏まえると、
そこに大して
違いはなく感じた。
自分は一体どうしたいのか、
胸に濃霧が立ち込める思いで
エレベーターの
ボタンを押す。
「彼も死んだ人間が
戻るわけないのに、
何っ回も解約された番号に
電話しちゃってなぁ。
あんな未練たらしい
真似する男の
どこがいいのかね。
理解できんよ本当に」
エレベーターの
扉が閉まる前に
そんな声が聞こえてきた。
その後に後輩が何を言うか
話を聞いてみたい気もしたが、
あいにく声は
分厚い扉に遮られ
途切れてしまう。
……俺は
死んでいたはずの時間に
みゆきと電話をしたんだ。
あの時は冥界とでも
電話が繋がったんじゃ
ないかと思って、
無我夢中だったな。
周りに白い目で
見られるのも、
まあ当然のことなのか。
低いモーター音が
階下へ向かう狭い箱の中に、
微かに伝わる。
ここでみゆきと2人きり
見つめあったことを
思い出した。
頭の形がはっきりとわかる
艶やかな髪の感触が
まだ手に残っていた。
認めたくないんですよ。
けっこう自己中な人ですし。
僕としては意地張るより
今こそ胸を張って
謝りに行って
ほしいもんですけどねぇ」
彼らは持ち場にいない時は
よくここに溜まって、
与太話をしている。
くだらないとも思ったが、
2年前まで
よく自分もそこにいたことや、
これからバーで小百合と
少なからず会社の愚痴を
話すだろうことを踏まえると、
そこに大して
違いはなく感じた。
自分は一体どうしたいのか、
胸に濃霧が立ち込める思いで
エレベーターの
ボタンを押す。
「彼も死んだ人間が
戻るわけないのに、
何っ回も解約された番号に
電話しちゃってなぁ。
あんな未練たらしい
真似する男の
どこがいいのかね。
理解できんよ本当に」
エレベーターの
扉が閉まる前に
そんな声が聞こえてきた。
その後に後輩が何を言うか
話を聞いてみたい気もしたが、
あいにく声は
分厚い扉に遮られ
途切れてしまう。
……俺は
死んでいたはずの時間に
みゆきと電話をしたんだ。
あの時は冥界とでも
電話が繋がったんじゃ
ないかと思って、
無我夢中だったな。
周りに白い目で
見られるのも、
まあ当然のことなのか。
低いモーター音が
階下へ向かう狭い箱の中に、
微かに伝わる。
ここでみゆきと2人きり
見つめあったことを
思い出した。
頭の形がはっきりとわかる
艶やかな髪の感触が
まだ手に残っていた。

