オバケの駐在所

「話は聞くだろうけど、
……場合によっちゃ
その代償は計り知れない」

まるで戒めるかのように
語尾を強く締めた。

……わからないって
ことじゃねえか。

とにかくさっきから小百合が
何度も急かしてきて、
俺は話し途中だったのに
半ば強引に腕を引っ張られて
立たされた。

そしてすぐに小百合は
交番を出ようとする。

そんな焦らなくてもと
思った時、
心臓の嫌な縮み方とともに
その理由が
はっきりとわかった。

……そういえば
うちの閉め切った
会社の喫煙所とは違う。
窓も戸もガラスが割れて
風が吹き入れていたんだ。

割れ残った入口の窓ガラス。

何故か白く
煙たいままの部屋の中には、
何人もの恐ろしい
風体をしたオバケが、
虫一匹通さぬくらいに
警官を囲んで
ひしめき合ってる模様が
写されていた。

「まあ、またおいでよ。
困ってる人が
たくさんいるから
俺はここで
暮らしてるんだ。
おっと、
オバケは人って言わないか。
ははは」

逃げるように
俺達はその場を離れた。

2人して
手玉に取られた気分だった。

「な、なんなの?あれ……。
私怖いわ」

「……今日は
このまま帰ろう。
なんかどうも嫌な感じだ」

「そうね。
日を改めましょう。
いつでもまた来れるわけだし」

生ぬるい空気が
早足で歩く体に
絡みついてくる気がした。

それに後ろを振り返れば
何かにつけられてる気がして、
俺らは自然と手を繋いで
駅まで帰った。