オバケの駐在所

いつの間にか
肉も血も骨さえも
ボロボロと崩れてしまい、
ついには視界も全て
消えてしまった。

……どうしよう。

底冷えのする
黄泉の住人の笑い声だけが
聞こえてくる。

走っているのか
止まっているのか、
上を向いているのか
下を向いているのか、
……生きていた時の
形をしているのかさえも
わからない。

……私達は
どうなったのかな……?

「お姉ちゃん……いる?」

「……いるよ。
手を繋いでるじゃない」

「……ハジメさんは?」

「……いる。
まったく重いなぁお前は。
しょうがないやつだ」

……なんだ。よかった。

他の感覚は全部
無くなっちゃったけど、
2人の声が聞こえるなら
安心だ。

2人はこんな時だというのに
楽しそうに話している。

……いいなぁ。
この2人は知り合い
だったのかな?
妙に会話が弾んでるよね。
……帰ったら聞いてみよう。

やがてその声も
遠のいていく。

……なんか私
気を失ってばっかだったな。

「なぁ、なつみ」

……ん……?

「明日は学校行けよ」

……うん……。

私はなんとなく
微笑むことができた気がした。