私はまだその言葉に
理解がついていけず
考えが及ばないでいた。
だけど私は頷いて
お姉ちゃんの手を引き、
山の頂上を目指して走った。
それこそ闇雲に。
……助かるんだ。
生き返るんだ。
私らはまだ、
死なないんだ。
月明かりだけが便りの
奥深くて真っ暗な坂道は
まさに黄泉路の名に
ふさわしかった。
不思議と怖くはなかったが、
黒い影と
いくつもすれ違うのが
すごく奇妙に見えた。
「……あ」
その中の1人が
ほんのわずかにだったが、
そう声を洩らした。
私も直感的に気づく。
あの子だ。
イワシさんの妹さん……!
「こっち!
こっちに走ってきなさい!
私についてきて!」
死人がみんな振り返る。
私の言葉の真意に
気づいた人はいただろうか?
私は振り返らない。
坂道はどんどん
急な勾配になっていく。
時間がないのに……。
それなのに地面は
蹴っても蹴っても踏ん張れず
空回る。
そして走るうちに
服も皮膚も
剥がれ落ちていった。
理解がついていけず
考えが及ばないでいた。
だけど私は頷いて
お姉ちゃんの手を引き、
山の頂上を目指して走った。
それこそ闇雲に。
……助かるんだ。
生き返るんだ。
私らはまだ、
死なないんだ。
月明かりだけが便りの
奥深くて真っ暗な坂道は
まさに黄泉路の名に
ふさわしかった。
不思議と怖くはなかったが、
黒い影と
いくつもすれ違うのが
すごく奇妙に見えた。
「……あ」
その中の1人が
ほんのわずかにだったが、
そう声を洩らした。
私も直感的に気づく。
あの子だ。
イワシさんの妹さん……!
「こっち!
こっちに走ってきなさい!
私についてきて!」
死人がみんな振り返る。
私の言葉の真意に
気づいた人はいただろうか?
私は振り返らない。
坂道はどんどん
急な勾配になっていく。
時間がないのに……。
それなのに地面は
蹴っても蹴っても踏ん張れず
空回る。
そして走るうちに
服も皮膚も
剥がれ落ちていった。

