差し伸べた手も
姉のほうに向いていた。
「だからみゆきちゃんも
おいでって。
もう時間も
なくなってきたし、ほら」
ハジメさんが言う
思いがけない言葉に
私とお姉ちゃんは
顔を見合わせた。
キョトンとしてしまった
お姉ちゃんに
ハジメさんは警棒を持たせ、
私に警察の帽子を被せたら、
有無も言わせないで
交番からつまみ出し
薄気味悪い裏山のほうへ
私たちを追い立てた。
「いいか。
絶対に後ろは見るな?
振り向いたら
出口がわからなくなって
黄泉の住人に引っ張られんぞ。
俺は後ろからどうあっても
お前らを守るから、
お前らは頂上を目指して
この坂をただ突っ走れ!
わかったな?」
「……え?わ、私も!?
なつみはともかく
私はもう……」
「大丈夫だから」
私が向けていた怪訝な視線を
感じとったのか、
ハジメさんは続けて言った。
「打ち出の小槌に叩かれたのは
お前だけじゃないだろ?
姉妹で一緒に蘇生できるよう
俺が願ったんだ。
感謝しなさい俺に」
……そ、それは……
つまり……
この坂道を登れば
私とお姉ちゃんは
助かるってこと?
また一緒に
暮らせるってこと?
「フフフン。
まだまだ甘いななつみ。
俺が黙ってダイコクに
殴られるわけがない。
ぬかりはないさ。
それにな、
昔イザナギって神が
焼け死んだ妻を
あの世から連れ帰るために
ここを通ったんだ。
だからきっと助かるさ」
姉のほうに向いていた。
「だからみゆきちゃんも
おいでって。
もう時間も
なくなってきたし、ほら」
ハジメさんが言う
思いがけない言葉に
私とお姉ちゃんは
顔を見合わせた。
キョトンとしてしまった
お姉ちゃんに
ハジメさんは警棒を持たせ、
私に警察の帽子を被せたら、
有無も言わせないで
交番からつまみ出し
薄気味悪い裏山のほうへ
私たちを追い立てた。
「いいか。
絶対に後ろは見るな?
振り向いたら
出口がわからなくなって
黄泉の住人に引っ張られんぞ。
俺は後ろからどうあっても
お前らを守るから、
お前らは頂上を目指して
この坂をただ突っ走れ!
わかったな?」
「……え?わ、私も!?
なつみはともかく
私はもう……」
「大丈夫だから」
私が向けていた怪訝な視線を
感じとったのか、
ハジメさんは続けて言った。
「打ち出の小槌に叩かれたのは
お前だけじゃないだろ?
姉妹で一緒に蘇生できるよう
俺が願ったんだ。
感謝しなさい俺に」
……そ、それは……
つまり……
この坂道を登れば
私とお姉ちゃんは
助かるってこと?
また一緒に
暮らせるってこと?
「フフフン。
まだまだ甘いななつみ。
俺が黙ってダイコクに
殴られるわけがない。
ぬかりはないさ。
それにな、
昔イザナギって神が
焼け死んだ妻を
あの世から連れ帰るために
ここを通ったんだ。
だからきっと助かるさ」

