オバケの駐在所

お姉ちゃんにはよく
面倒を見てもらっていたが
私だって東京に来て1年、
だてに遊んでたわけじゃ
ないんだ。

「へー、そーなの?
怖い夢みたら
すぐオネショする子
だったのに……。
月日が経つのは早いのねぇ」

……うぐ。……この姉は
久しぶりに会ったというのに
ずいぶん
容赦のないことを言う。

姉は目を細め、
ハジメさんの前で
言ってやったぜみたいな顔で
ほくそ笑んでいた。

「ふーんだ。
でも私お姉ちゃんの
彼氏らしき男の人の写真も
見ちゃったからね。
誠実そうでなかなかいい男と
付き合ってたでないの。
このこのぉ」

ってわたしゃ
オヤジか……と心の中で
自分にツッコミながら
お姉ちゃんの反応を
うかがうと、
「そう……」なんて
しれっとかわされた。
おのれ……。

「さて、
なつみそろそろ帰ろうか」

ハジメさんが煙草の火を
灰皿にしっかりと
押しつぶして言った。

「へ?どこへ?」

「現世だよ。
もたもたしてると
魂がやられる」

現世?どういうことだ?
だって……。

「お前の人生
まだ終わっちゃいないだろ?
これからたくさん
色々な体験をして、
自分の物語を
作っていくんだから。
ここで栞をはさむのも
中途半端だし、
くつろぐのは
帰ってからにすればいいよ」

と、ハジメさんは
まだ生き返れる希望が
あるような
含んだ言い方をする。