オバケの駐在所

血色がよくて
ちゃんと
呼吸もしてるみたい。

懐かしいな。
本当に会えるなんて……。

「おまわりさんに聞いたよ。
あんたも変わらず
オバケにからまれてるん
だってね」

そう言って顔を向けた先には
こんな時でも呑気に
白巻きの煙草をくわえて
窓の外を眺めている
ハジメさんがいた。

それともこんな時だからこそ
気持ちを紛らすために
うってつけなのが
喫煙者の叙情か。

「おう、起きたか。
いい所だなぁ
お前んとこの田舎は。
小川のせせらぎも
なごましてくれるし
山の匂いがこう、
童心に帰らせてくれるよな」

振り返ってハジメさんが言う。

「そうでしょ?
私の故郷でもあるんだよ?
昔はよく裸足でこの子と
あぜ道を駆け回ったもんだ。
うんうん」

と、腰に手をあてて
気取らない受け答えをする
お姉ちゃん。
なんだか私の知っている
この2人が
仲良さげに話しているのは
不思議な感じだ。

しかしどうやら
部屋の内観を見渡すかぎり
いつものあの
交番にいるように見えるけど、
ここは何なの?故郷って?

「ここは黄泉の国だ。
俺も気づいたら
ここにいたんだよ。
ダイコクの野郎め。
本気で殴りやがって……」

頭をさする仕草をする
ハジメさんだったが、
そんな兄弟ゲンカみたいな
軽いトーンで言われると
こっちまで拍子抜け
してしまう。