心なしか蒼白な表情を
浮かべていた。
台所にいた面々は私を含め、
そのやりとりを
聞くか眺めるだけであった。
じっと相手を見据える
ダイコクに、
口まで床についてしまうんじゃ
ないかってくらいの土下座で
何かを懇願している
イワシさん。
その何かっていうのは
なんとなく想像できた。
ところがイワシさんが
ふいに両手を
差し出したかと思えば、
ダイコクの持っていた
大きな木槌から
物理的な存在を無視して
たくさんの大判小判が
そこに降り注いだ。
イワシさんはそれに
お礼を言う。
……うそ。売ったの?
用を終えたダイコクは
その幼顔の女中の肩をつかみ
ふらふらと千鳥足で
台所から離れていった。
幼顔の彼女は涙をたらしながら
魂のない人形浄瑠璃のように
連れられていった。
ダイコクがいなくなっても
畏怖の念がいまだに
一同を支配するなかで、
私だけがイワシさんに
駆け寄った。
「イワシさん、
あの子はどうなるんですか?」
「ああ、きっと
食べられるんだろうにゃあ」
「……やっぱり。
そんなイワシさん、ひど――」
ひどい?
言いかけて私は
なんとか思いとどまった。
浮かべていた。
台所にいた面々は私を含め、
そのやりとりを
聞くか眺めるだけであった。
じっと相手を見据える
ダイコクに、
口まで床についてしまうんじゃ
ないかってくらいの土下座で
何かを懇願している
イワシさん。
その何かっていうのは
なんとなく想像できた。
ところがイワシさんが
ふいに両手を
差し出したかと思えば、
ダイコクの持っていた
大きな木槌から
物理的な存在を無視して
たくさんの大判小判が
そこに降り注いだ。
イワシさんはそれに
お礼を言う。
……うそ。売ったの?
用を終えたダイコクは
その幼顔の女中の肩をつかみ
ふらふらと千鳥足で
台所から離れていった。
幼顔の彼女は涙をたらしながら
魂のない人形浄瑠璃のように
連れられていった。
ダイコクがいなくなっても
畏怖の念がいまだに
一同を支配するなかで、
私だけがイワシさんに
駆け寄った。
「イワシさん、
あの子はどうなるんですか?」
「ああ、きっと
食べられるんだろうにゃあ」
「……やっぱり。
そんなイワシさん、ひど――」
ひどい?
言いかけて私は
なんとか思いとどまった。

