そしていよいよ
宴もたけなわの時間。
ようやく一汁三菜
七の膳が出尽くし
酒と肴がフル回転で
幽玄の間へ
運ばれていく頃に、
私は再び台所に立つことが
許された。
もちろんそれは
皿洗いのためであるが。
しかるに一旦この戦場から
離脱したのは、
人間を有無も言わさず
さばいていく様を
同じ人間である私にまざまざと
見せつけるよりはと思っての
イワシさんの配慮であろう。
そんなスプラッタな光景を
目の当たりにしたら
もはやトラウマどころの
話じゃない。
ちなみにマカナイは
タイのお頭付きでした。
おいしかったです。
ごちそうさま。
行儀が悪い話のつづりで
ごめんなさい。
でもここで働いている雑用も
ほとんどがイワシさんのような
魚であるから、
いくら私とて
それを食べる時はほんのり
複雑な心持ちになった。
さておき私は今、
頭に三角巾をつけて
横や後ろに次から次に
重ねられていく皿を、
幽霊の正念場といった具合に
どんどん洗っている。
それこそ1つ、怪談話が
できそうなくらい。
ほのぼのと静かに
夜が明けはじめている
東雲の空とは雲泥の差。
だけどその反面、
つまりもう少しすれば
日の出を迎え朝となるんだ。
ということは宴はおしまい。
ハジメさんもいるし、
なんとかこのまま
無事に帰れることを祈る。

