オバケの駐在所

「……あ、いや。ありがとね。
こんな途方もない事に
巻き込まれた
私を助けてくれて」

「お礼なんて
助かってからでいいよ」

と、真剣な眼差し。

近くで見てみると
いい顔つきをしてるなと
不覚にも私は思ってしまった。

眉間、目もとのシワが
ハジメさんらしい。
しっかりと通っている。

「神隠しは世界中で
あることだけど、
まさかこの日暮町で
事が起きるとは俺も
思わなかったし。焦ったよ。
しかも様子を見にきたら
なつみの肉体があったか……」

と、途中で言葉を切り、
手で隠しながら急に
悪いいたずらを誰にもバレずに
やってのけた時の
少年のような含み笑いをした。

……ん?なんだ?ん?

いや……まて。

「まさかハジメさん、
私の裸……見てないよね?」

船倉に積まれた死体は
みんな服を
着てなかったような。

「ん?あー……
そう言われてみれば。
でも確か他の人の体に
埋もれてたし、周りも
暗かったじゃん?あそこ。
見えてないよ。
老眼もきてるし」

……ほ、ほんとうかぁ?

私の目は火のような、もしくは
レーザーのようなものが
発射されそうなくらいに
とても熱くたぎってきた。

「やれやれ、俺ってあんがい
信用されてないんだな。
まぁともかくイワシくん
なつみを頼んだよ。ほんじゃ」

ウヌヌ……。

アデュー、と聞こえんばかりの
調子よい足どりに見えるのは
私だけであろうか。