「ああ、イワシくん。
お久しぶりだね」
ギコ、ギコ、と
なにやら木と鉄を
すり合わせたような音と、
なんか不愉快な
鼻歌がする。
そこには船頭の魚さんがいた。
小舟で使うような櫓が
船尾の末端に申し訳程度に
取り付けてあり、
それをこぐ手が止まった。
「あんれ。あんたも
乗りなすってたのかい」
「ああ。野暮用でね。
元気にしてた?」
「相も変わらんずら。
まあここでの暮らしも
悪くにゃあけど、
やはり……な」
「大空を泳ぎ回りたいってか」
ハジメさんと魚さんは
知り合いのような感じだった。
この人は顔が広いなんて
もんじゃないな。
もはや携帯の電話帳が
50も満たない
私なんて耳クソである。
……いいんだ。
狭く、深く、で。
「イワシさんも
ここから抜け出したいの?」
ハジメさんがイワシと
言っていたから
本当はイワシだったんだろう。
図太い手足からは
想像もつかないが。
「あっしらは釣られたんじゃ。
ここで働いている雑用は
みんなエビス様にの。
じゃが命があるだけ
マシだらぁ。
小さくて使えないもんや
怪我したもんは
みんな食われちまったかんな」
お久しぶりだね」
ギコ、ギコ、と
なにやら木と鉄を
すり合わせたような音と、
なんか不愉快な
鼻歌がする。
そこには船頭の魚さんがいた。
小舟で使うような櫓が
船尾の末端に申し訳程度に
取り付けてあり、
それをこぐ手が止まった。
「あんれ。あんたも
乗りなすってたのかい」
「ああ。野暮用でね。
元気にしてた?」
「相も変わらんずら。
まあここでの暮らしも
悪くにゃあけど、
やはり……な」
「大空を泳ぎ回りたいってか」
ハジメさんと魚さんは
知り合いのような感じだった。
この人は顔が広いなんて
もんじゃないな。
もはや携帯の電話帳が
50も満たない
私なんて耳クソである。
……いいんだ。
狭く、深く、で。
「イワシさんも
ここから抜け出したいの?」
ハジメさんがイワシと
言っていたから
本当はイワシだったんだろう。
図太い手足からは
想像もつかないが。
「あっしらは釣られたんじゃ。
ここで働いている雑用は
みんなエビス様にの。
じゃが命があるだけ
マシだらぁ。
小さくて使えないもんや
怪我したもんは
みんな食われちまったかんな」

