駅を出てさまざまに
歩いていく人の足並みから
そいつは少し
外れた方向へと歩く。
道に薄く敷かれた雪を
1人足跡を残していく男。
その男は1年前の雪の日、
交通事故をおこした。
スピードをろくに
おとさないまま
ブレーキを踏んだため
雪にタイヤをとられ
スリップし、
歩道に乗り上げる。
そして信号待ちをしていた
3人を勢いよくはねた。
ことの重大さに
3人の命の安否より
自らの保身をとった男は
その場から逃げた。
はねられた1人は
軽症を負いそのまま気絶。
1人は半身不随になるほどの
重傷。
……もう1人は
意識不明の重体だった。
警察は逃げた男を
結局突きとめられない
ままだったが、
軽症ですんだ当事者の1人は
その事故の瞬間の相手の顔が
フラッシュでも
焚かれたかのように
脳裏に焼きついていた。
ないがしろにされた恨みは
この1年、
ぶつけどころのない
怒りとともに
膨らんでいくばかり。
世の中は無常だ。
なぜお前は過去を忘れて
普通に暮らせている?
なぜ被害者の俺らが
泣き寝入りしなければ
ならない。
歩いていく人の足並みから
そいつは少し
外れた方向へと歩く。
道に薄く敷かれた雪を
1人足跡を残していく男。
その男は1年前の雪の日、
交通事故をおこした。
スピードをろくに
おとさないまま
ブレーキを踏んだため
雪にタイヤをとられ
スリップし、
歩道に乗り上げる。
そして信号待ちをしていた
3人を勢いよくはねた。
ことの重大さに
3人の命の安否より
自らの保身をとった男は
その場から逃げた。
はねられた1人は
軽症を負いそのまま気絶。
1人は半身不随になるほどの
重傷。
……もう1人は
意識不明の重体だった。
警察は逃げた男を
結局突きとめられない
ままだったが、
軽症ですんだ当事者の1人は
その事故の瞬間の相手の顔が
フラッシュでも
焚かれたかのように
脳裏に焼きついていた。
ないがしろにされた恨みは
この1年、
ぶつけどころのない
怒りとともに
膨らんでいくばかり。
世の中は無常だ。
なぜお前は過去を忘れて
普通に暮らせている?
なぜ被害者の俺らが
泣き寝入りしなければ
ならない。

