この日の療法の事例を
記録してるときも
心理士の先生に言われる。
「元気ないな。
奥さんとなんかあったのか?」
「……まぁそんな所です」
頬をかきながら適当に
返事をしてみる。
「もしかして自分のものさしで
他人を計っちゃってるんじゃ
ないか?
相手はお前が考えてるより
ずっと悪いことを
考えてるかもしれないけど、
その逆だってあるんだからな。
他人は自分を写した鏡なんて
よく言ったものだ。
結局は自分の人生観で
その人をくくっちゃうから
見えるものも見えてこない。
まずは自分が変わる努力を
したほうがいいよ。」
この病院の人たちとは
あまりプライベートまで
仲良くはしていないから
よくは知らない。
はためは親切そうな
人ばかりだけど、
背後に怨念のような
ドス黒い霊が
見えるところから
うかがえるように、
人はみんな何か重い過去を
引きずりながら
暮らしているのかも
しれないと思った。
俺のものさしが
そう告げていた……。
だけどその反面、
その屈託のない笑顔が
決して鏡にうつしだされた
ものではないことに、
なんてずるい人たちなんだ
とも思えた。
記録してるときも
心理士の先生に言われる。
「元気ないな。
奥さんとなんかあったのか?」
「……まぁそんな所です」
頬をかきながら適当に
返事をしてみる。
「もしかして自分のものさしで
他人を計っちゃってるんじゃ
ないか?
相手はお前が考えてるより
ずっと悪いことを
考えてるかもしれないけど、
その逆だってあるんだからな。
他人は自分を写した鏡なんて
よく言ったものだ。
結局は自分の人生観で
その人をくくっちゃうから
見えるものも見えてこない。
まずは自分が変わる努力を
したほうがいいよ。」
この病院の人たちとは
あまりプライベートまで
仲良くはしていないから
よくは知らない。
はためは親切そうな
人ばかりだけど、
背後に怨念のような
ドス黒い霊が
見えるところから
うかがえるように、
人はみんな何か重い過去を
引きずりながら
暮らしているのかも
しれないと思った。
俺のものさしが
そう告げていた……。
だけどその反面、
その屈託のない笑顔が
決して鏡にうつしだされた
ものではないことに、
なんてずるい人たちなんだ
とも思えた。

