オバケの駐在所

俺はそれに目を通しながら
ふと１つ疑問がわいた。

「……味噌汁？
いまなんで味噌汁の事を？」

別にそれほど
仲のいい間柄でもなく
連絡をとりあってる
わけでもないのに
今朝のことを
知ってるふうな口ぶり。
もちろん当てずっぽうで
ものを言うなんてことは
人間ざらにあることだが。

「え？いや、
……なんでだろ。
なんとなく」

首を傾げながら
不思議そうに
仕事へと戻っていった彼女。

しかし俺も
あまり追及しないで
そのまま朝礼に向かった。

仕事はとても憂鬱だった。

笑顔を作らなければ
ならない。
人と接するのも苦痛だった。

「大丈夫かい？先生。
元気がないように思うけど」

患者のおじいさんが
スロープの手すりに
つかまりながら聞いてくる。

「なんだか思いつめてるように
見えてさ。」

と、心配まで
してくれている。

……心の内が顔にでも
出ちゃっているのだろうか？