「……気をつけてね。
雪道は危険だから。
いってらっしゃい。」
「いってくる」
俺は固い決意をたずさえて
家を後にした。
俺は都心の病院に
理学療法士として
勤務していた。
地方のほうから
電車を乗り換えて通い
日勤を終えてまた帰る。
ほんの前まではあまり通勤に
時間はかからない
中央線沿線に
住んでいたのだが、
お義母さんの
リハビリもかねて
いまののんびりとした地域に
越してきた。
交通の便はたしかに悪い。
ところがそのことが俺に
思わぬ展開を
もたらしてくれた。
「おはようございます、
大野さん。
元気ですか?」
「ああ、おはよう」
病院に着くと
看護師の女性が
話しかけてきたので、
俺は軽く手をあげて応えた。
「ふふ、
すごい寝ぐせですね。」
「ん?ああ、
朝なおそうとしたんだけど
忘れてた。
考え事しててさ」
「奥さんも味噌汁を作る
器量があるんだったら
寝ぐせくらい
直してあげればいいのに」
少し嘲笑ぎみになりながら
看護師は指示書を
渡してきた。
心理士や看護師たちと
チームを編成して
リハビリに取り組んでいる
患者のカルテだ。
雪道は危険だから。
いってらっしゃい。」
「いってくる」
俺は固い決意をたずさえて
家を後にした。
俺は都心の病院に
理学療法士として
勤務していた。
地方のほうから
電車を乗り換えて通い
日勤を終えてまた帰る。
ほんの前まではあまり通勤に
時間はかからない
中央線沿線に
住んでいたのだが、
お義母さんの
リハビリもかねて
いまののんびりとした地域に
越してきた。
交通の便はたしかに悪い。
ところがそのことが俺に
思わぬ展開を
もたらしてくれた。
「おはようございます、
大野さん。
元気ですか?」
「ああ、おはよう」
病院に着くと
看護師の女性が
話しかけてきたので、
俺は軽く手をあげて応えた。
「ふふ、
すごい寝ぐせですね。」
「ん?ああ、
朝なおそうとしたんだけど
忘れてた。
考え事しててさ」
「奥さんも味噌汁を作る
器量があるんだったら
寝ぐせくらい
直してあげればいいのに」
少し嘲笑ぎみになりながら
看護師は指示書を
渡してきた。
心理士や看護師たちと
チームを編成して
リハビリに取り組んでいる
患者のカルテだ。

