俺はそれをまじまじと
観察してみた。
信じがたいものを見た時
人は声が出ないらしいけど、
それは起こりえないはずの
夢みたいな現実に
覚悟をきめるまでの
間ではないか?
……そうか。
やはりこれは夢じゃない。
俺はオバケの存在を
今まで否定も肯定も
してはいなかった。
だがこうもありありと
見せつけられると
さすがに信じざるをえない。
……昨日のばあさんがきっと
俺の目玉を『みえる』瞳に
かえたに違いない。
そう、それが
おそらく河童の目玉。
汚い沼とかに住むであろう
その河童の目玉をくりぬいて、
あの汚い服の
どこかに入れといて、
何を触ってるかわからない
あのばあさんの指で
俺の目玉と交換して……って、
……考えるときもちわる。
とにかく俺はオバケが
みえるようになったらしい。
嘘のような真のような
ゆらゆらと揺らめく話だ。
朝ごはんの味噌汁を
ゆっくり噛みしめて思う。
だが俺の決心は
揺らぐことはない。
俺は床にうろつく
人の顔をした蜘蛛たちを
大股でよけながら
お義母さんのいる
和室へ入った。
観察してみた。
信じがたいものを見た時
人は声が出ないらしいけど、
それは起こりえないはずの
夢みたいな現実に
覚悟をきめるまでの
間ではないか?
……そうか。
やはりこれは夢じゃない。
俺はオバケの存在を
今まで否定も肯定も
してはいなかった。
だがこうもありありと
見せつけられると
さすがに信じざるをえない。
……昨日のばあさんがきっと
俺の目玉を『みえる』瞳に
かえたに違いない。
そう、それが
おそらく河童の目玉。
汚い沼とかに住むであろう
その河童の目玉をくりぬいて、
あの汚い服の
どこかに入れといて、
何を触ってるかわからない
あのばあさんの指で
俺の目玉と交換して……って、
……考えるときもちわる。
とにかく俺はオバケが
みえるようになったらしい。
嘘のような真のような
ゆらゆらと揺らめく話だ。
朝ごはんの味噌汁を
ゆっくり噛みしめて思う。
だが俺の決心は
揺らぐことはない。
俺は床にうろつく
人の顔をした蜘蛛たちを
大股でよけながら
お義母さんのいる
和室へ入った。

