高尾山の黒ライムに
勝つってのは、
みたけ山にとっての
誇りである。……が、
それは建て前の気持ちで、
本当はキャルロットに
ちょっとでも自慢話を
作ってやれたらいいなって
思ってるんだ。
問題児ではなく、自慢の息子が
みたけ山にいるんですよって。
こんな俺にできる唯一の事だ。
そして気にかかるのは
ライムの事。
スレていた俺を
彷彿とさせる奴……。
もしかすると
心の根底にある本音は
仲良くやりたいのかも
しれない。
「ところでお嬢さん。
いま餅をつきなさいって
言っていたけど、
餅をつく金色のウサギの話を
知ってるのかい?」
俺が聞くと女の子は、
ウサギが言葉を話すのが
さも当たり前かのように
会話をしてくれた。
「ありゃぁ、お嬢さんなんて
生意気な口を……。
フフ、知ってるも何も
有名な話でしょ?
夜空を仰げば見えるんだから。
誰だって知ってるよ」
「……次、現れるのは
いつ頃だろうか?
わかるのなら
教えてほしいのだが」
「うーん、そうだね。
いまが三日月だから
10日後くらいに見上げれば
綺麗なんじゃない?
って思うよ」
……10日後。
相撲の組み合いが始まる時だ。
駐在所の窓を開けて
夜空を見上げると、
裂けたような金色の三日月が
薄い雲の下で
淡い光を放っているばかり。
勝つってのは、
みたけ山にとっての
誇りである。……が、
それは建て前の気持ちで、
本当はキャルロットに
ちょっとでも自慢話を
作ってやれたらいいなって
思ってるんだ。
問題児ではなく、自慢の息子が
みたけ山にいるんですよって。
こんな俺にできる唯一の事だ。
そして気にかかるのは
ライムの事。
スレていた俺を
彷彿とさせる奴……。
もしかすると
心の根底にある本音は
仲良くやりたいのかも
しれない。
「ところでお嬢さん。
いま餅をつきなさいって
言っていたけど、
餅をつく金色のウサギの話を
知ってるのかい?」
俺が聞くと女の子は、
ウサギが言葉を話すのが
さも当たり前かのように
会話をしてくれた。
「ありゃぁ、お嬢さんなんて
生意気な口を……。
フフ、知ってるも何も
有名な話でしょ?
夜空を仰げば見えるんだから。
誰だって知ってるよ」
「……次、現れるのは
いつ頃だろうか?
わかるのなら
教えてほしいのだが」
「うーん、そうだね。
いまが三日月だから
10日後くらいに見上げれば
綺麗なんじゃない?
って思うよ」
……10日後。
相撲の組み合いが始まる時だ。
駐在所の窓を開けて
夜空を見上げると、
裂けたような金色の三日月が
薄い雲の下で
淡い光を放っているばかり。

