鼻をさすりながら僕は
ぼーっと夢の続きを
思い返す。
お母さんはどーして
怒っていたんだったか。
誰が追いかけて
きてたんだったか。

う〜ん、う〜んと
考えこんでみたけど、
僕の頭は唸るだけで
なかなか言う事を
聞かない。

「さあー出来た!
後はこれに包んで……
ほら〜、行くよ夏彦!」

エプロンを放り投げて
麦わら帽子を深くかぶると、
陽気に外へ繰り出していった
美姫ちゃん。

「早くー」と
足を踏み鳴らして催促する
せっかちさは
相変わらずだが、
その手には水泳袋を
ぶら下げていて、
落ち込んでいた先月よりかは
どことなく調子が
戻ってきた感じ。

リュックに詰められた
弁当箱やら浮き輪やら
たくさん荷物を持って、
僕も負けじと
帽子をかぶって外へ出た。

シーズンは過ぎたけど、
今日はたくさんプールで
遊ぶんだ!