私の友達である
吉野さんが持ってきた
麦茶の給水タンクも
夏の暑さで
汗をかくように
水滴をつける。

空にもむくむくと
盛り立った
立派な入道雲が
浮かんでいた。

迎える9回裏2アウト。
ついに訪れる決着の時。
まさか弱小チームの
我が日暮高校が
甲子園に馴染みの
東海大附属を
追い詰めるとは
誰も思っていなく、
みんな息を呑んで
試合の行方を
見守っていた。

ランナー満塁、1対0。
バッターは4番、
脅威のスラッガー。
鳴り響く昔のアニメの
応援ソング。

遅まきながらも
降って現れた
超新星は
場内の観客の
視線を釘付けにしていた。