オバケの駐在所

そして私は
体の向きを変えて
走り出す。
修二君は後ろから
呼び止めていたが
おかまいなしに
体育館裏へ向かった。

その向かった先の途中には
いつのまに
先回りしていたのか
にやけた顔をした
あの化け物の男が
実演棟の壁に寄りかかり
立っていた。

「まだ見つけて
なかったのか。
大丈夫なのか?」

私はそこで一旦
足を止め肩で息をしながら
男を睨みつける。

そして体育館裏へと
回るため
実演棟の最後の角を
曲がると
そこに志野ちゃんはいた。

「少し遅かったな。」

その様子を見ながら
男は言う。

「……なんで?
あなたがやったの?
2人に何をしたの?」

「ふふ、願いを
叶えてやっただけさ。」

「願い?」

「晃が玉恵の事を
好いててね。
それで一緒に
なりたいなんて言うから
一緒にしてあげたんだ。
……あの世でだけど。」

目の前には瞼を閉じて
倒れている2人。
地べたに仰向けに
なっている志野ちゃんと
体育館から繋がる
コンクリートの階段の所で
座った状態から
そのまま倒れたように
体をくの字にして
横たわる晃君。

そして体育館裏の壁や
地面など目の届く
あらゆる場所に
黒いゴキブリが無惨にも
釘で打ちつけられていた。