うう、私のバッグ……。
「……ねぇ、
去年の夏くらいに
肩を痛めたって聞いたけど
その時、何か変わった事
しなかった?
誰かをいじめたとか、
変な人に
声をかけられたとか。
クラスメートとかでも……。
覚えてない?」
そう言いながら
校舎の3階の教室に
視線を送るが、
ここからでは
校舎に近すぎて
教室は見えなかった。
グラウンドの境にあり
校舎と平行に植えてある
桜の木が緑をいっぱい
つけて邪魔なのだ。
「言ったろ?
野球ばっかだよ。
強いて言えば
玉恵がよく貧血に
なったりとか
変な鳴き声がたまに
聞こえたりとか……。」
辺りには
強くなる生温い風が
吹きすさび
黒い雲がだんだんと
天を覆いだす。
「……たまえ?
それって志野ちゃんの
名前なの?」
「そうだよ。
……タマって
呼んでんだけど
タマタマ金玉って言うと
怒るからおもしれぇの。」
修二君は鼻をすすって
悪戯っぽい
言い方をしながら
これまた悪戯っぽい
笑顔を作っていたが
私の心はざわついてきた
草木にように
揺れだしていた。
そしてニュースの
テロップみたいに繰り返す
小人の言葉。
……たまえ、
死んだから運び出せ。
「……ねぇ、
去年の夏くらいに
肩を痛めたって聞いたけど
その時、何か変わった事
しなかった?
誰かをいじめたとか、
変な人に
声をかけられたとか。
クラスメートとかでも……。
覚えてない?」
そう言いながら
校舎の3階の教室に
視線を送るが、
ここからでは
校舎に近すぎて
教室は見えなかった。
グラウンドの境にあり
校舎と平行に植えてある
桜の木が緑をいっぱい
つけて邪魔なのだ。
「言ったろ?
野球ばっかだよ。
強いて言えば
玉恵がよく貧血に
なったりとか
変な鳴き声がたまに
聞こえたりとか……。」
辺りには
強くなる生温い風が
吹きすさび
黒い雲がだんだんと
天を覆いだす。
「……たまえ?
それって志野ちゃんの
名前なの?」
「そうだよ。
……タマって
呼んでんだけど
タマタマ金玉って言うと
怒るからおもしれぇの。」
修二君は鼻をすすって
悪戯っぽい
言い方をしながら
これまた悪戯っぽい
笑顔を作っていたが
私の心はざわついてきた
草木にように
揺れだしていた。
そしてニュースの
テロップみたいに繰り返す
小人の言葉。
……たまえ、
死んだから運び出せ。

