オバケの駐在所

志野ちゃんは?
学生バッグは
机にかけてあったんだ。
家に帰ったって事は
ないはず。
部活には出てくるかな…?

とりあえず私は
無邪気に廊下で走り回る
小さなオバケ達を
踏まないように
気を配りながら歩く。
そしてその足並みは
だんだんと早くなり
校庭へと向かっていた。

別にそんな
気にするほどでも
ないかもしれないが
何しろ引っかかるのは
昨日のハジメさんの言葉。

……志野ちゃんまで
オバケだったらどーしよ。

幅が大きな学校の階段を
1つ飛ばしで下りていき
途中で男子生徒の
帰宅集団とすれ違うが
お構いなしに
跳んではねて
横を駆けぬけた。

そしてそれを
面白がってるのか
拳ほどの大きさで
フキの葉を持った
緑色の小人達が
互いをおんぶしながら
私の真似をして
からかうように列をなし
階段を下りて
いくのが見える。

「急げ、急げ。」

私がどこからか聞こえる
声に気づき
スピードを緩めると
その小人達はせっせと
一段ずつ下りながら
何か喋っていた。

「急げ、急げ。
急がないと雨が降るぞ。」

「運べ、運べ。
早くしないと
濡れちゃうぞ。」