オバケの駐在所

「いいでしょ別に。
冷めたらおいしくないし
私のお金で
買ったんだから。」

「俺のために
買ったんだろ!?

よこせ!」

と言ってきたので
渋々食べカスがついた
2本の骨を差し出す私。

せっかちだな。
洗ってから
渡そうと思ったのに……。

「なんだこりゃ?
しかもきたねぇ食いかた!

俺にも肉よこせ!
そっちのほうが
絶対力でる。」

「ちょっと、きゃあ!
やめて!
これは私の昼飯なのよ、
このコジキ!」

そんなひもじい肉の
奪い合いは
端から見たら
さぞ醜い事であったろう。
しかし私にも
ゴキブリという呪いの
しっぺ返しから
身を守る任務があるので
致し方のない事なのだ。

決して食い意地が
はってる訳ではない。

そんなこんなしてる間に
校内に響き渡る
始業のチャイム。

彼は惜しむらくは
自分のクラスに戻り
やがて先生が来ると
4時限目の授業が
いつも通り始められる。

私は店から
もらってきたオシボリで
手を拭きながら思った。

……あれ?
志野ちゃんは?