「去年の夏あたりかな。
修二は急に肩を
押さえだして
痛みを訴えるし、
キャッチャーやってる
兄貴の晃も
歩くのも辛いって
感じになってさ。
医者は過度な
トレーニングの
せいだろうだって。
結局自分らの
根性が足らないだけだよ。」
彼女は手を腰にあて
目尻を垂らし
鼻で息をつく。
「おかげで
去年の夏は欠場。
チームは1回戦敗退。
今年を逃したら晃は
卒業しちゃうし……。
あんなにも夢みてた
甲子園を目指せる
年齢になって、
蓋を開けたら
こんな有り様じゃあ
2人がかわいそうすぎる。」
彼女はたくさん
硬球が入ったカゴを
両手で持つと
重たそうに揺らしながら
ほんのり照れた
面もちになり
小さい声で続けて言った。
「……まぁ、
私が奴らの輝いてるとこ
ただ見たいだけ
なのかもしんないけど。」
私は考える。
もしあの兄弟に
憑いている
悪霊を取り除く事が
できたとしたら
状況は少しは
変わるのだろうか。
ふと私が3階の
教室を見ると
馬鹿にしたような態度で
見下ろしている
羊男子がいる。
……悔しいだろうな。
ちくしょう。
修二は急に肩を
押さえだして
痛みを訴えるし、
キャッチャーやってる
兄貴の晃も
歩くのも辛いって
感じになってさ。
医者は過度な
トレーニングの
せいだろうだって。
結局自分らの
根性が足らないだけだよ。」
彼女は手を腰にあて
目尻を垂らし
鼻で息をつく。
「おかげで
去年の夏は欠場。
チームは1回戦敗退。
今年を逃したら晃は
卒業しちゃうし……。
あんなにも夢みてた
甲子園を目指せる
年齢になって、
蓋を開けたら
こんな有り様じゃあ
2人がかわいそうすぎる。」
彼女はたくさん
硬球が入ったカゴを
両手で持つと
重たそうに揺らしながら
ほんのり照れた
面もちになり
小さい声で続けて言った。
「……まぁ、
私が奴らの輝いてるとこ
ただ見たいだけ
なのかもしんないけど。」
私は考える。
もしあの兄弟に
憑いている
悪霊を取り除く事が
できたとしたら
状況は少しは
変わるのだろうか。
ふと私が3階の
教室を見ると
馬鹿にしたような態度で
見下ろしている
羊男子がいる。
……悔しいだろうな。
ちくしょう。

