「考えすぎだよ。
今も昔も雨が降った時に
必要とされる
存在なんだから。

気にすんな。」

そう言っておまわりさんは
隣の部屋へ行き
トイレのドアを開けて
豪快に音をたてながら
用をたす。
おそらくは扉を
開けっ放しであろう。

……あの人は
何も考えてなさそうだ。

その時和傘は
骨を補強していた
ビニールテープを
剥がし取り
まるで着物をたたむように
丁寧に3つに折り
椅子の上に置くと
おまわりさんを待たずして
外に飛び出していった。

トイレから戻ってきた
おまわりさんは
それを見ると
軽く鼻から息を洩らす。

「やれやれ。」

そして開けっ放しの交番の
入り口の戸を閉めた。