「もう誰にも嘘はついちゃ駄目だよ。」 君に騙されるのは僕だけで十分だ。 君の嘘を許せるのは僕だけでありたかった。 君は肩を震わせて、コクンと頷く。 「もう嘘はつかない。」 そう言った君の手は後ろ髪を撫でようとはしていなかった。 これでさよならだよ。 そして僕は、僕らの関係をイーブンにするために、最後に一つだけ嘘をつく。 「お互い、苦しいだけだったね。」 #6 end.