「そんなの気にしてないし、泣くなよ」


「ごめんなさい...」


そう言いながら目をハンカチで押さえていた。


どうしていいか分からず、何か話題をと考えてたら、ふと泣いてる女子の名前を聞いていなかったことに気が付いた。



「俺の名前は岩田剛だ。あんたの名前は?」


少し落ち着いた様子だったから問いかけてみた。


「私は海島 綾(うみしま あや)です。入学早々迷惑を掛けてごめんなさい。ハンカチは洗って返します。」

彼女は罪悪感からなのか暗い顔をしていた。

「返すのはいつでもいいよ。ひとまず教室に戻るか」


彼女は小さく頷いた。