「センパイ?」

こ、こいつ…


男だよな…?


でもこの声………腹話術とか?


「センパーイ?

そういえばセンパイすっごく似合ってますね、浴衣!

かっこいいです!」


メイクのせいなのか何なのか目の前の男が顔を赤く染めて、俺を¨かっこいい¨と褒める。


マジで…?

男に褒められたにもかかわらず、鳥肌が立たない。


それどころか、心臓がかなりドキドキしてんだけど…。

「お前……

本物?」


恐る恐る聞くと、
目の前の男はスゲー不思議そうな顔をして、

「本物の山田春奈ですけど?」

と首をかしげる。

心なしか、少しオドオドしているふうにも見える。


「何言ってんだよ、秋!

春ちゃんならそこに……

あれ?

どこ行ったんだろ。」