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【私立北徳春高校 職員室】



数日後、正義はテストの採点に追われていた

机の上に置かれた192人分の答案用紙


一クラス32人居て、二年生は六組まである為テストの採点だけでかなり時間がかかる

北徳春高校に英語教師は二人居るが、こんな時に限って流行りの風邪を引いて学校を休んでいた




『先に帰りますー!』

『お先でーす』

続々と同僚が帰っていく中、正義は黙々と机に向かう

時間は18時になろうとしていた

二年生は進路関係の事や保護者との三者面談も多く忙しい時期だ


学校行事だけでも手一杯なのに、ボランティア活動に殺人鬼の事と正義は頭を抱えていた


しかしそんな理由でボランティア活動を辞める訳にはいかないし、そんなつもりもない

殺人鬼の事だって個人的に気にしているだけだし



『あれ〜?星野先生まだ帰んないですか?』

梨本がサッカー部の顧問を終え、職員室に戻ってきた

校内の電気はほとんど消され、唯一残っていた生徒達も部活を終えて帰宅して行った

職員室には寂しい事に正義と梨本しか残っていない



『俺手伝いますよ?』

梨本が汚れたジャージを脱ぎ机の上に丸めた



『いや、大丈夫大丈夫。お前も疲れてんだから早く帰れよ』


北徳春高校のサッカー部は大会で何度も優勝する程強く、

顧問である梨本は朝練に放課後の部活と顔には出さないが疲れがたまっている事は分かっていた


『でも……』と言う梨本に『これでもう終わりだから』と嘘を付き帰らせた