Iの漂流戦士





正義は一時間後、殿(しんがり)町に到着した

時計は17時を回ろうとしている


テスト期間の学校が多いせいか、街にはいつも以上に学生が溢れていた

あちらこちらで色んな学校の制服が目に入る


(うちの生徒も居たりして……)

テスト期間だからと言って真っ直ぐ家に帰り勉強をしている生徒は少ない


そんな事は嫌でも分かっているが、もし生徒にあったら教師として注意するべきか……


いや、正義も人の事を言える立場ではない

正義が殿町に来たのは仕事でもボランティアでもなく自分自身と意思


『先生こそ何やってるの?』なんて聞かれたら答えようがない

だって、殺人鬼に会いに来たなんて口が裂けても言えないのだから



正義は車をパーキングに停め、事件現場である大通りに向かった


仮にも昨夜殺人鬼が現れ、殺人が起きたというのに人々の数はいつもより増してるように見えた


世間の感覚は少しだけズレている


例えば今まで注目されなかった芸能人が事件、事故をきっかけにメディアに引っ張りだこになったり


著作権の問題で活動停止になったアーティストの曲がオリコン一位になったり


殺人鬼が現れた街を観光スポットのように訪れる人が居たり


人間はまともに生きているように見えて、実はそうではない


心の中では悪い事は悪いと認識していても、どこかで興味津々の自分が居たりする


話題になったものに無関心ではいられない


人間とはそうゆう生き物なのだ