Iの漂流戦士






店内に入ると一番角のテーブルに倉木の姿が見えた

いつも混雑しているファミレスは平日だけあって人も疎ら(まばら)のようだ


倉木の服装は私服だが、少しいつもとは違う

倉木のトレードマークであるジャージではなく、見慣れない黒のジャケット


簡単に言えば“倉木らしくない”服装だった



『倉木さん。ど、どうしたんですか?』


普通ならばあまり驚く事ではないが、どんな時も上下ジャージ姿の倉木しか見た事のない正義は目を丸くさせた



『おー来たか。まぁ座れよ』


口調は普段と変わらないが、正義はただならぬ雰囲気を感じていた




『今日研修だったんですか…?』


教師の世界ではたまに他校の学校へと出向き、研修という名の勉強会がある

それは主にベテラン教師や経験豊富な教師が呼ばれて、正義はまだ参加した事はない


倉木はコーヒーを一口飲み『いや…』と答えた


『………学校はどうしたんですか?』


『休んだ』


(や、休んだ!?)


倉木の教師誠心は正義にとって憧れそのもので、39度の高熱の中でも生徒達と一緒にフルマラソンを走ったという伝説もある


その倉木が学校を休んだなんてただ事ではない