Iの漂流戦士




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それから数日後、高木功が睦八代高校を辞めた事を倉木から聞かされた


理由はあの騒動以来、学校に居づらくなった事と母親の転職を機に別の土地に移るという事だった


高木功の成績ならどの学校でも編入出来るだろうし、本人は心機一転なんだかスッキリした顔をしていたらしい



倉木は何度も引っ越し先を聞いたが、高木功は最後まで教えなかったようだ

勿論、正義にも分からない



ただ、あの日の帰り道



"俺は今でもあなたが嫌いです。でも星野さんのお陰で兄さん達は救われた。感謝します"


その言った言葉が高木功と交わした最後の会話だった


引っ越し先を言わず忽然(こつぜん)と消えるのも、憎まれ口を言うのもなんだか高木功らしいと思った






『おーい、席つけ!出席取るぞ』


今日も正義の1日が始まる


変化していく環境
変化していく生徒
変化していく自分

なんだか今はそれがとても楽しい



あれから人々の記憶から殺人鬼の存在は消えつつある

あれほど噂話をしていた生徒達の今のブームはゆるキャラの中の人らしい

こうやって記憶は薄れ、また上書きされて新しいものになるのだろう



高木功が書いた本は今、古本屋に並び誰も手に取らない

でも風化していく中でも伝えていかなきゃいけない事はある



『今日から教室に心のノートを置くからな』


正義は一冊のノートを生徒達に見せ、教室の壁にぶら下げた



『心のノート?なにそれ?』


職員会議で正義が提案したこのノートは各教室に置かれる事になった

それは思っている事をなんでも書くノート


悩みでも愚痴でも不満でも、
嬉しい事も楽しい事も

一言でも二言でも長文でも


誰でも書ける、誰でも見れる心のノート


これが一冊埋まる頃にはきっと世界は変わるだろう