Iの漂流戦士




少女の目線は正義の目を反(そ)れて、別の所に向いた


『綺麗な色……』

それは正義が腕に付けていた蛍光色のワッペン


それは月明かりに負けない程、緑色に光っていた

少女はジーッと物欲しそうに見つめている


『あ…これ?』

正義はそう言ってワッペンに手を添えた

自然と正義の手が少女から離れた

だけど、少女は逃げる事もなくまだワッペンを見続けていた


『あ、えーと…これはあげられないんだけど……』

すると少女は『そう……』と残念な声を出した


その不思議なやり取りのおかげで正義の平常心は元に戻っていた


『あ…あのさ…か、仮面を取って顔を見せてくれないかな?』


これは殺人鬼の正体を知りたかった訳ではない

その仮面の下から微かに見える綺麗な目をもっと良く見たかったから



仮面を取るという事は素顔を見せるという事

犯人が顔を隠したがるように、殺人鬼もまた顔を晒す(さらす)なんてあり得ない事だ


しかし少女はためらいもなく白い仮面を外した


そこから見えた顔はビー玉のような瞳にスッと高い鼻筋

西洋人と日本人のハーフで人形のような顔だった