Iの漂流戦士





【同時刻 睦市】




黄昏時、この睦(むつみ)市で当てもなく歩く影が一つ

グレーのスウェットに眼鏡姿。周りを警戒しながら人気のない道を歩いていた


『息が詰まるな、この生活は』


自宅謹慎中の高木功は隙をみて外の空気を吸っていた

別に悪い事をした訳じゃないのにどうしてこんな生活をしなくてはいけないのか。日に日にストレスは増すばかり



『はぁ……………』


大きなため息を付いた後、背後に人の気配を感じた


また雑誌記者か、あるいはメディア関係者か。恐る恐る確かめると---------。



『一馬?』


思いもよらない人物が立っていた



『功さん。最初にあなたに謝らないといけないですね。根拠もないのに功さんを疑い、ひどい事を言いました。ごめんなさい』


修との兄弟関係が何故世間に知られたのかはまだ分からない。でも正義の言う通り高木功ではない気がする


『そういうのって死亡フラグって言うらしいよ?あ、一馬は死んでるからちょっと違うか』


相変わらずの憎まれ口。高木功は今にも消えそうな一馬に驚きはないようだ

決して仲が良かった訳じゃないけれど、一馬は高木功にも言いたい事があった



『僕は勝手に功さんと自分は似てるって思ってました。自分の思ってる事を口に出すのが苦手で結局無理矢理解決してしまう』


『………………』


『だから間違いに気づくのが遅いし間違ったまま気付かない事も多い。でも自分で解決できない事は誰かに頼ってもいいんじゃないでしょうか?僕にはそれが出来なかったけど功さんはそれが出来る。あなたは生きているから』



もしかしたらこんなに落ち着いて向き合うのは初めてかもしれない。顔を合わせればそっぽを向いてしまう二人だったから