---------------------
----------
【殿町 イチョウ通り】
いつの間にか辺りは夕暮れになっていて、コンクリートにオレンジ色の影が映る
帰宅途中の学生に仕事途中のサラリーマン。様々な人達がナノハの横を通り過ぎていった
ナノハは今朝一馬と話してから、ずっとこの場所に居た
一馬はどうなっただろうか?修は今頃なにをしてるだろう。そんな事を考えているとあっという間に時間は過ぎていく
『-----------ナノハさん』
誰かに名前を呼ばれた気がして振り返ると、そこには一馬がいた。しかしいつもと様子が違う
『……………一馬?か、体が…………』
ナノハの目に映る一馬は透明人間のように透けていた。それどころか光の中にいるかのように神々(こうごう)しい姿
『はい。もうあまり時間がないようです』
近くに居るのに声が遠くに感じる。ナノハはそれを見て全てを察した
『…………逝くんだね、一馬』
『そのようです。不思議ですよね。ずっとこうなる方法を探していたのに最後はなんだかあっという間で…………』
“最後”という言葉にナノハは思わず一馬を抱きしめた
体の感触、肉体はまだここにあるのに今にも消えてしまいそうだ
『………………一馬ッ………』
ナノハのすすり泣きが耳元に響く
『別れの言葉ぐらい用意しておけば良かったです。ナノハさんにはたくさん言いたい事があったのに』
一馬は震えるナノハの体をギュッとした。少ない時間の中で全てを伝えられないのが悔しい



