静かな廊下を暫く歩き、一馬が足を止めたのは1年1組の教室の前
『ここが僕のクラスでした。あまりいい思い出はありませんけど』
一馬はそう言ってある場所に向かった。それはかつて座っていた自分の座席
そこから見える景色は一馬にとって辛いもののはすだ
わざわざ苦しい場所へと帰ってきたのはあの日々を本当の意味で終わりにする為
だからこそ正義は聞いておきたい事があった
『一馬君はどうして自分をいじめた人達を裁きに行かなかったの?』
以前、一馬の口から聞いた辛い過去。正義は正義なりに調べてある事が分かった
それは一馬をいじめた人達は今も生きていて、別の学校に通っているという事
一馬はあの日遺書を書かなかった。だけど自殺した原因は自(おの)ずと明らかになる
それを恐れた一馬をいじめた人物達は次々転校していき、今はひとりもこの学校に残っていない
『………行かなかったんじゃない。行けなかったんです』
一馬が座席に座りながらポツリと呟いた
憎しみは薄れた訳じゃないし、むしろ今もある。だけど--------。
『何度も行こうと思ったし、居場所を突き止めたりもしました。でも思うんです。この人達を殺したら自分の憎しみは消えるのかなって』
『……………一馬君』
『憎悪っていくところまで行くと原因を作った人じゃどうにもならなくなるんです。いくら謝罪をされても罪を償われても、その首を鎌で跳ねてもどうにもならない。………それを思い知るのが怖くて僕は今も彼らの所に行けない』



