いつもならここで終わるはずの会話が今日は少し違った
『えー。でも彼氏いないんでしょ?ならいいじゃん!』
『………………』
『付き合えばナノハちゃん俺の事好きになるかもしれないしさぁ』
何故断っているのに押してくるのか。ナノハには理解出来ない
恋愛に興味がないんじゃなくて、ただ単純にもし誰かと付き合う日がきたら自分も大好きになった人がいい
だから彼氏が居ないなら。とか好きな人が居ないなら。とかそんな理由を言う人は好きになれなかった
『…………ごめんなさい……』
再びこの言葉を言うと男子生徒はグッとナノハとの距離をつめた
『いや無理。だってみんなにナノハちゃん彼女にしてくるって言ってきちゃったもん』
『…………………』
『ねぇ、いいでしょ?』
怖い。ナノハにはこの感情しかなかった。早くこの場から去りたい
男子生徒の手がナノハに触れようとした瞬間、背後で声が響いた
『なにしてるんですか?』
振り向くとそこには桜の姿。ナノハの泣きそうな顔を見て桜は深いため息をついた
『すいません。ナノハ怖がってるみたいなので諦めてくれません?』
ナノハは思わず桜の方に駆け寄り、腕を掴んだ
通りすがりの人の目が男子生徒に向けられる。少々面倒な雰囲気になったのを見て、男子生徒は渋々その場を立ち去った
男子がいなくなった後でもナノハは桜の手を離そうとしない。よほど怖かったようだ
『こんな通学路でなにやってんだか。あの人東高の人でしょ?確かサッカー部のエースでけっこうモテる人だよね』
『……………そう…なんだ』
いつも桜には助けてもらいっぱなしだ。でも桜の隣にいると自然と安心できた
『でもナノハ。あんたも悪いよ?ごめんなさいだけじゃなくてちゃんと理由を言わなきゃ。だから相手が押せば落ちるかもって期待するんじゃん』
『……………うん』
『まぁ、あの人モテるから自信があるんだろうけど。あーあ。ちょっとかっこいいと思ってたのに幻滅』
桜は冗談まじりに笑った
『ほら、学校いこっ?早く行かないと遅刻しちゃう』
桜はそう言ってナノハの手を引いた。はじめて安心できると思えた友達
ナノハは何があっても大切にしようと思った



