幻聴のように聞こえてくる音は確かに存在している
正義は周りをキョロキョロと見渡したが、若者達以外誰も居ない
(でもこの声は違う。ここに居る人達じゃない)
『星野どうした?』
そんな正義の異変に倉木が気付く
『声が……今なんか聞こえませんでした?』
『誰の声?そこら辺に居る奴らの声じゃないのか?』
『ー……………ー…』
『ほら!また聞こえた!』
正義はそう訴えるが倉木は首を傾げている
(倉木さんには聞こえないのか?)
『……………ー………』
(声………じゃない。これは……)
正義にしか聞こえていない音は間違いなく幻聴なんかではない
耳をすますと“声”というよりは鼻歌のようなそんな感じ
正義はその鼻歌に導かれるように歩き始めた
『え、ほ、星野!?』
慌てて倉木が追いかけようとするが、若者との話しが途中でそれどころではない
正義は無意識のまま商店街を出てオフィスビルが立ち並ぶ大通りへと向かっていた
(歌が………歌が聞こえる)



