『……………ッ』
思わず教室を飛び出した後ろでまた悪魔の笑い声が聞こえる
ずっとずっと、その声が頭をぐるぐる掻き乱す
『………ハァ…ハァ………』
走ってきたのは学校の屋上
この場所で何度も自分の居場所を探し、パソコンの向こう側に繋がりを感じた
それなのに、それは全部嘘だった
『嫌だ……嫌だ』
“サクマ”は一馬の理解者で、存在を認めてくれる。逃げてもいいと言ってくれた人
“お前の味方なんて居る訳ねーじゃん”
斉藤の言葉で一馬の何かがプツンと音をたてた
『はは、………あはは』
笑いたくないのに笑いが出る
終わらない。あの地獄に終わりなんてない
『………僕の世界はいつだって灰色だ』
最後に知ったのは悲しみを通り越すと無になるって事
痛みも苦しみも寂しさもない
ただ無になって透明になるだけ
一馬にとってパソコンの向こう側はもう一つの世界
でもその世界も、もう存在しない
一馬はゆっくりと屋上の手すりに手をかけた
風がふわりと頬を通り抜けると、涙も一緒に流れていった
クシャリと違和感を感じたポケットから出てきたのは先ほど隠した一枚の紙
何を書けばいい?
苦しかった、悲しかった、寂しかった
そんな言葉で言い表せない
一馬は何も書かれていない紙を小さな小石で止めた
何も書かない事が一馬の最大限の表現
-------サッ……………
風と共に一馬の体が屋上から消えた
誰も助けてくれないなら、自分で自分を守るだけ
明日も苦痛の中で生きる自分を今日の自分が救ってあげる
そう、明日が訪れないように



