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『なんかお前って、いじめられるオーラが出てるよな』
一馬の平穏な世界はこの一言で崩れ去った
それは中学生になり、2ヶ月を過ぎた6月の事
小学生の時はそれなりに友達は居たし、性格も暗かった訳じゃない
ただ皆より少しだけ成長が遅く、身長も体格も小柄だっただけ
それを面白おかしく周りからからかわれ、日に日にそれはエスカレートしていった
『なぁ、数学の宿題代わりにやってくんない?お前無駄に頭いいじゃん』
ケラケラと笑いながら言うこの少年の名前は斉藤弘貴(さいとう ひろき)
クラスのリーダー的存在で、いつも数人の男子を引き連れている
『あ、俺のもやっといて』
『俺も』
斉藤の一言で周りの男子も次々と一馬の机にプリントを置いていく
『……宿題は自分でやった方がいいと思う』
一馬がポツリと呟くと、斉藤の目付きが変わった
『あ?なんか文句あんの?』
この威圧感。反論したくてもそれを許してくれない