【殿町 オフィスビル26階 屋上】
日が沈み殿の街は夜を迎えていた
無数のネオンの明かりとビルの窓から漏れる蛍光灯の光り
ザワザワと若者が騒ぐ声は、この屋上には届かない
シーンとしている暗闇の中で、枝波修は1日中同じ場所に居た
手すりの向こう側、
落ちるか落ちないかのギリギリのラインに座り、ただじっと街を見続けている
何を考えているのか
何をしようとしているのか
それは誰にも分からない
---------------と、その時
ギィィと静かに屋上の扉が開いた
スタスタ…と近付いてくる足音を聞いただけで、修はその人物が誰だか分かったようだ
『また来たのか?こんな時間にウロウロしてたら補導されるぞ』
修の言葉を聞いて、その人物は歩く足を止めた
『……………』
修の態度は今朝と同じだ
背を向けたまま喋り、視線すら合わそうとしない
『…………兄さんはそうゆう所、一年前と変わらないよね』
そんな修を見て、弟である高木功が呟いた
その表情はどこか冷たくて、修に対してこんな感情を抱いたのは初めてかもしれない



