---------------------------
-----------------
修は公衆電話から出ると、また雨に打たれた
目の前には12階建てのビル
外から登れる古びた階段を修はゆっくりと登った
上へ上へ、地上から離れる場所へ
修が屋上に着く頃には、雨はさらに強さを増していた
それは痛いぐらい、
屋上には何もなくてあるのは冷たいコンクリートと手すりだけ
そこから修が育った東和市の町が全部見えた
小さいけれど、嫌いではない
あまりいい思い出はないけれど
修はその町を見ながら思った
もしかしたら今、自分と同ような人間がどこかに居るじゃないかって
呼吸するだけでも大変で、毎日必死もがいてる人間が、
その中できっと自分より不幸な人も居て、こんな風に“終わり”を決意する
それは自分のせいじゃない
それなら、死に追い込むほどの苦しみを与えた人を裁くのは誰?
『……やっぱり俺はこの世界が嫌いだ』
修は手すりを飛び越えて、僅かな場所に立った
---もう憎い父親は居ない。
居ないけれど、こんな理不尽な世界で生きていたくはない
修は目を瞑った
----そして。
----------------



