散乱している部屋の中で、どんどん血がにじんでいく
父親の白いTシャツは真っ赤に染まり、突き刺した腹部からは血が流れ続けていた
----ガシャン…
修の手から包丁が落ちた
右手を見ると大量の血
自分ではない父親の血
『…………ッ』
修は部屋を飛び出した
-----終わった。
-----これで全て終われたんだ
外は大雨が降っていて、修は傘もささず走り続けた
パシャ、パシャっと走る度にコンクリートから水が飛び散る
『ハァ………ハァ…ハァ……』
修の右手からは赤い水滴が垂れ、洋服についていた血はどんどんにじんている
『ハァ……ハァ……』
----終わったのだ。あの苦しい日々は
『ハァ………ハァ…ハァ…』
どこまで走っただろう
修は肩で息をしながら止まった
空を見ると絶え間なく雨が頬を打ち、それはとても冷たい
その瞬間、修の目から涙がこぼれた
悲しくない
むしろ心は羽が生えたみたいに軽い
それなのにこの涙はなんなんだろう?
悲しくない
悲しくないけど
修は母親が愛した人を殺した
修は弟の父親を奪った
自分自身の悲しみじゃない
だけど、無条件に涙が出た



