『どこへ行ったとか、誰と居たとか、その理由も全部話さなきゃいけないの?』
修はまた倉木に違う顔を見せた
それはとても冷たくて、今まで見た事のない顔だった
『……話したくないならそれでもいい。でも誰かに話して楽になる事もあるんだぞ』
『………楽に?』
『そうだ。1人で抱え込んでいるから余計自分を追い詰める。だから………』
修の中にある誰にも言えない悩み
全部じゃなくてもいい
少しでいいから………
『それって先生として?それとも愛の手として?』
返ってきた言葉は予想を遥かに越えていた
そんな事を言われると思ってなかった倉木は一瞬黙ってしまった
それを見て修がすかさず問いかける
『先生は担任だから俺を知りたいんでしょ?愛の手だから悩みを打ち明けて欲しいんでしょ?』
『…………』
『偽善者とは言わない。でも……先生に悩みを言って解決出来るとは思えない』
教師を長年やってきて初めてかもしれない
生徒に対して一瞬で自信がなくなったのは
--------悩みを言っても解決出来るとは思えない
そんな堂々とした口調で言われたら、軽い気持ちで反論なんて出来ない
--------------俺に任せれば大丈夫だ。
何故その言葉が出てこないのだろうか
縮まりかけていた修と倉木の距離がまた遠くなった



