【同時刻 殿町 駅ターミナル】




若者ばかりが行き交う駅前で、緑色のワッペンをつけた大人達が数人


ボランティア団体愛の手は今日も殿町をパトロールしようとしていた



『あれ?倉木さんは?』

その中の一人が周りの見ながらキョロキョロとしている


『あそこで最後の一服(いっぷく)。パトロール中は吸えないからね』



確かに飲酒や喫煙を注意してる最中に自分達が吸うわけにはいけない

倉木はタバコを吸いながら、今朝の修の事を考えていた


修は倉木に色々な表情を見せるけど、どれも素顔じゃない気がして仕方がない


それにやっぱり名字が嫌いな理由は家庭にあるのかもしれない


倉木はそんな事を思いながら、仲間が集まる場所へと移動した




----一方その頃、修が居る商店街も騒がしくなっていた



『愛の手がまた来たみたいだよ』


そんな言葉でみんな一斉に商店街から離れ始めた



『修、行こう。今度こそ捕まらないようにしないとな』


戸ヶ崎はさっきの顔が嘘みたいに普通に戻っていた