Iの漂流戦士





2人は昨日会ったばかりとは思えないほど打ち解けていた

まだ互いに知らない事は多いけど、それはこれから話していけばいい



『でも不思議だよね。昨日まで俺達が他人のように生活していたなんて』


高木功は本当に兄が出来て嬉しいようだ


修はこんな風に受け入れてくれると思ってなかったが、

その嬉しそうな顔を見て、会いに行って良かったとさえ思っていた

---この問題さえなければ



『……ねぇ、俺のお父さんってどんな人?』


高木功だって父親に対して良いイメージはない

何せ母親と自分を捨てた男なのだから


でも父親は父親で、どんな人なのかずっと気になっていた



『……………』


修はその質問に答えようとしない

むしろ父親の話なんてしたくないのが本音


確かに父親を通じて生まれた兄弟関係だけど、

弟の高木功とは別のモノで繋がりたいと思っていた



あんな父親が結んだ関係なんて思いたくない



『………兄さん?』


考え込む修の姿に高木功が顔を覗き込んだ


本当の事実を言ったらどんな顔をするのだろう


父親は無職で女好きで、今風俗の女と住んでいるなんて言ったら


弟の高木功はどんな事を思うのだろうか?


ここで全てを打ち明けて、今の生活を語るのは簡単だ

でも、


あの父親は修の父親で、

それと同時に高木功の父親でもある



正真正銘の血の繋がった父親に、これ以上絶望するのは自分だけでいい