その夜、修は電車に乗り東和市(とうわし)に戻る事にした
勿論それは家に帰る為ではないけど、あのまま街に居る気分ではなかった
今日はどこで一晩過ごそうか?
また神社でもいいけど、雲行きが怪しい
今すぐにでも一雨(ひとあめ)来そうな天気だった
薄暗い街灯、バチバチと光りに当たる虫の音がうるさい
そんな人通りのない道で、コツコツッとヒールで歩く足音が聞こえる
『あれ、修くんじゃん』
その音と共に現れたのは、会いたくなかったあの女
--------------ドクン。
この間の嫌な感覚が身体中に襲ってくる
『私これから仕事なの。修くん昨日も家に帰って来なかったし、一応心配してたんだよ〜』
甲高い声が耳障りで、修は早くこの場所から立ち去りたかった
『お父さんの事嫌いみたいだけど、今日は家に居ないみたいだから帰っても大丈夫だよ』
その的外れの発言に思わず笑ってしまいそうになった
『父親の事も嫌いだけど、それと同じくらいあんたも嫌いだよ』
言わなきゃ分からないなら何度だって言ってやる
父親もそれに群がる女達も死ぬほど、
本当に死ぬほど大嫌いだ
だけどそんな言葉では終われない程、修の周りの人間は腐っている
『えーそんな冷たい事言わないでよ。修くんもしかして反抗期?』
女は赤い口紅を付けた唇でクスクスと笑っている
その姿を見た修の感情は無だった



