冷静かつ冷たい言葉に修の顔が少し歪む。そんな修を横目で見て、戸ヶ崎は言い放った
『別に珍しい事じゃねーよ。特にここに居る連中は常にそんな事を思ってる奴らばっかりだから』
-----------それなら戸ヶ崎も?
思わず聞いてしまいそうになったけど、詮索しないという約束を思い出した
この街には色々な悩みを抱えた人達が集まる
それは理解していたつもりだけど、まさかこんなに重い場所だったなんて
確かに修も普通の人より苦しい事はあったけれど、自ら死を選ぶ程ではなかった
いや、そんな選択は思い付きもしなかった
もしかしたらこの場所も自分の居場所ではないのかもしれない
そんな事を思ってる中、戸ヶ崎がふっと修に問いかける
『なぁ、お前には心配してくれる人が居るか?』
『……え?』
金髪に無数のピアス、やんちゃな戸ヶ崎には少し似合わないセリフ
心配してくれる人と言われ、頭に思い浮かんだ人は今の所居なかった
『……もし1人でも居るならこっち側の人間にはならない方がいいぜ』
“この側の人間”
その意味が今はなんとなく分かる気がする
戸ヶ崎の顔はどこか寂しそうでまるで自分には心配してくれる人は居ないと言っているみたいだ
『………少し考えてみる』
この場所に留(とど)まるのか、それともまたあの家に戻るのか
その答えを出す前に、修にはどうしても“しなくてはいけない事”があった



