------------------ガチャ。
その頃修は自宅のドアを開けていた
理由は単純な事
昼間に帰ればあの女は居ないかもしれない
それに暫く会ってない父親にも言いたい事があった
部屋の中は物音一つしなくて、テレビの音さえ聞こえてこない
そーっと居間の戸を開けると微かに人の気配を感じた
そこに居たのは酒の空き缶に囲まれて寝ている父親の姿
相当酒を飲んでいるのか、修には全く気づいていない
『…………おい』
修は父親に向けて声をかけたが、ピクリとも反応がない
それどころかパンツ一丁で昼間から寝ている姿に苛立ちさえ沸いてくる
『おい、起きろ』
修は父親を見下ろしながら、体を足で小突いた
『………ん……』
父親が寝返りをうった瞬間に修は周りに置いてある空き缶を蹴飛ばした
---------------カランッ!!!!!!!!
その音にビクッと目を開けた父親に修はすかさず言った
『てめぇ、いい加減にしろよ』
普段汚い言葉をあまり使わない修だけど、父親に対しては例外だった
『……いきなりなんだよ。せっかく気持ちよく寝てたのによ』
不機嫌に起き上がった父親はすぐにタバコに手を伸ばし、火を付ける